上田麗奈 1st LIVE Imagination Colors が本当に良かった

本当にすごいライブを見せてもらいました。上田麗奈さんはもともと自分の世界をしっかり持っている方だと思っていましたが、それをきちんと形にしてくれるスタッフさんがいて、ライブという形で表現されるとこんなものが出来上がるのかと。CD音源だけでも上田さんの表現力は十分伝わってきていたのですが、そこにステージセット・演出が加わり、上田さんの身振り手振り、表情から指先に至るまで全身のパフォーマンスが加わったライブは圧巻。曲間に拍手を送るという行為すらためらわれるほどで、単に“楽しかった”とか“感動した”とかではなく、もっと深い。心の底から世界観が染み渡ってくるような体験をさせてもらいました。

 

ライブ前

ライブ当日は楽しみなのと緊張とで、家を出る1時間前くらいかすでに胃が痛くなっていた。

会場に到着し、開演前BGMはどんな感じなんだろうか、と思いながら入場したらすでに中が暗い。席の一部が青いライトで照らされ、ぽつりぽつりと雫が落ちるように和音を響かせるピアノの音。開演前からすでにライブは始まっていた。

会場諸注意アナウンス終わりの「それでは開演までしばらくお待ち下さい」という決まり文句の後で会場から拍手が起こった。そんな文化あったっけ?ここにいる人達がどれだけこのライブを待ちわびていたかを表しているようだった。

開演5分前くらいからだったか、BGMの雰囲気が少し変わり、明確に海の音を響かせ始めた。自然に静まり返る会場。そして流れ始める最初の曲。

 

海の駅

イントロ始まった時点でこのライブが最高のものになることが確信できた。紗幕が上がるときに足元に溜まったスモークが引っ張られて雫のようになっている様が“世界の終わり”みたいで鳥肌が立った。そこに一人ぽつんと立っている上田麗奈さん。導入としてこれ以上のものは無い。

 

この曲の後で少しだけMCが入る。正直、「あ、ここでMCあるんだ。」と思った。ライブ全部見てから思うと、最初の1曲が“アバン”で、次のsleeplandからが本当の物語の始まり、だったのかもしれない。

 

誰もわたしを知らない世界へ

このライブで一番印象変わった曲かもしれない。視界がぱっと開け、未来への希望に満ち溢れた表情でのびのびと歌う上田麗奈さん。美しすぎる。セットの頂上で光に照らされる上田麗奈さんやば……。こんなの“救い”じゃん。

 

花の雨

この曲を歌っているときの上田麗奈さんが一番“上田麗奈さん”って感じがする。自分で作詞した曲、自分が気に入ったというカントリー系の曲であるということも関係あるのかな。上田麗奈さん自身が語りかけてくれているような感じがすごくあって、その上田麗奈さんが目の前に実在している。そのことがたまらなく嬉しかった。花の雨~きみどりのChimaさんゾーンは本当に心が暖かくなった。

 

Falling

この曲で明確に世界が変わる。アルバムでも前半と後半を分けるのにかなり大きな役割を果たしていた曲だったけど、ライブでもすごくうまく使われていた。アルバムと違って上田麗奈さんの声が入っていない。そんなバージョンあったんかーいって一人で笑ってた。

 

ティーカップ

このライブのベストアクトを1曲選ぶとしたらこれ。歌いながら少しずつ感情のゆらぎが大きくなっていき、狂っていく。ラスサビなんて本当に苦しそうで、前後不覚になっているよう。「頼む……そのまま床に倒れ込んで気を失ってくれ……!」と思っていたら曲の最後、終わる直前についにしゃがみ込んでしまった。このときの興奮といったらなかった。

 

aquarium

ライブで「Ah」という1フレーズにここまで感情を爆発させられる人は上田麗奈さんしかいないのではないだろうか。

 

旋律の糸

この曲で笑顔なの怖すぎる。

 

Falling~Anotherまでは上田麗奈さんの「陰」の部分が凝縮されているようだった。歌を歌うというより自分自身がその曲になっている。上田麗奈さんが曲を歌っているのではなく、曲が上田麗奈さんの体を借りて私達との世界をつないでいる。音楽ライブではあまり経験したことの無い感覚だった。

 

アイオライト

いつか、また。からの流れでこの曲が来たときの開放感。ようやく息ができた。この曲は上田麗奈さん自身が歌っているという感じがした。

 

ワタシ*ドリ

音源と声の質感の違いを最も強く感じた。CD版は無邪気な風を装ってガードが異様に硬いという感じの声だったが、目の前で歌っている上田麗奈さんの声は少し艶っぽく、大人になった感じがした。
少し躓いてしまった部分があったのだが、この曲に関しては完璧に歌われてしまってはそれもちょっと違うような気がしたので逆にほっとした。

 

あなたの好きなメロディ

映画のEDを見ているかのよう。どの瞬間を切り取っても絵になる。

 

ここまでで本編終了。上田麗奈さんが舞台から消え、鳴り止まない拍手がアンコールになっていく……のだが、私はそれができなかった。何か違うような気がしてしまった。でもアンコールの拍手が無いとそれはそれで再登場する名目がなくなってしまいそうだしな~みたいなことを終わった後もずっと考えていた。ライブって難しい。

 

リテラチュア

アンコール明け1曲目に相応しすぎる。イントロで天から光が降り注ぐところは本当にそう!サビ前でぱっと世界が開けるところなんだよなあ。

 

Campanula

私はこの曲を自分の葬式で流してほしいと思った。

 

Walk on your side

最後の曲は絶対にこれしかない。生歌を聞いていて、この曲はいつか絶対生バンドで聞きたいと思った。バンドメンバーと目を合わせながら歌っているところが見たい。それこそ隣で一緒に歩いているような感じで。

 

以前上田麗奈さんがインタビューで「このライブが最初で最後だという気持ちでいてください」*1とか、「目標を達成したらアーティスト活動を終わるつもりだ」*2などというようなことを言っていたので、このライブでどんな発表があるのか本当に気が気ではありませんでした。実際に発表されたのは夏にニューアルバムが発売されるということ。(この大事な発表をしようとしたところでトチってしまうのが最高に上田麗奈さんという感じで本当に良かった。)少なくともまだ先の活動を見ていられる。隣を歩いていくことが許されるということがわかって本当に言葉にできないくらい嬉しかったです。

Empathyを聞いたときから思っていましたが、上田麗奈さんはライブをやってこそ真に輝くアーティストだということを確信しました。本人は乗り気ではないかもしれないですが、自分のペースでいい。数年に1度くらいでいいので彼女の中にある世界を私達に見せ続けてほしい。そう心から願わずにはいられないライブでした。

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*1:上田麗奈インタビュー|1人きりの戦いを終わらせて生み出した「リテラチュア」 (3/3) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

*2:何かのインタビューでそんなことを言っていた気がしたのですが該当記事が見つかりませんでした。記憶違いかも?